Review: May’n, “Heat”

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アニメ漫画コミュニティーでは『マクロスF』のシェリル・ノームの歌を担当していることで知られるJ-popシンガーのMay’nの最新アルバム『Heat』が今日日本において発売されました。アルバムからの2曲はアニメのオープニングとエンディングに使われており、またもう1曲は『仮面ライダー・ドラマ』にも使われています。そして他の9曲は多様な作詞家と作曲家によって書かれ、そしてMay’n自身も2曲の作詞作曲を担当しています。曲調は、May’nの絶え間なく圧倒するメリスマ的声をベースにミッドテンポロックのものからピアノ中心のバラードもの、甲高いダンス音楽のものまで含まれています。

May’nの声はファンがどれだけアルバムを楽しむかに大きくかかっています。一番の見所は、「Don’t Be Late」のような緊迫した雰囲気とパワーの感覚が伝わってくること、またそれがこのアルバムに収録されてるPhi Brainのオープニングの「Brain Driver」や「Heat of the Moment」に活力を与えているところです。『緋弾のアリア』のオープニングに使われてる「Scarlet Ballet」のような勢いあるダンス楽曲、またはロック調のオリジナル曲「Get Tough」がとくにぴったりです。しかし、May’nのメリスマを弱めたデリカシーが要求される曲では、その効果があまり見受けられません。ミッドテンポ調なバラードの「鏡」と「恋」に関してはベストを尽くし一定の成果は現れてますが、「WE ARE」などの他の曲はちょっと歌に力が入り過ぎのように感じられました。

音楽に関しては、『Heat』は多様なジャンルが盛りだくさんですが、ほとんどはJ-popファンに馴染み深い領域に収まったスタイルとなっています。それを意図したのかもしれませんが、アニメのテーマソングにつかわれた楽曲がもっともクリエーティブな編曲となっています:「Scarlet Ballet」に擬似クラシックのピアノ・リフ、「Brain Driver」のような速いロックに奇妙系アニメにぴったりな奇妙な旋律などです。オリジナルの楽曲からは、「Heat of the Moment」と「鏡」が最もキャッチーなリフと最もバランスのとれた編曲になっています。(事実、前者はPVの代表曲として選ばれました。)その他の楽曲は一般的でありふれたものであり、それがアルバムの後半において特にバラード調の「恋」に至るまでは顕著となっています。

このアルバムは、多分このコレクションのなかでは最も珍しいスタイルの楽曲、『エヴァンゲリオン』または『かれかの』に携わった鷺巣詩郎手がける「Jewels」で幕を下ろします。鷺巣のトレードマークはギターの爆発的かつ重圧なパワーコードとフィルとソロをふんだんに含んた大規模なストリングスにあります。May’nの歌唱スタイルはそのアレンジにぴったりのようですが、しかし6分50秒もあるこのトラックの中盤から微妙になってきます。しかし、この曲の成果は、一般的にJ-popのスタイルではなく不完全でありますが、本来ならばありがちな一般的なアルバムになっているところを、このユニークな曲によってアルバムの音楽的スペクトルを広げているところです。

これまでの多くポップアルバムのように、『Heat』は突出した楽曲と「つなぎ」の楽曲が混在した福袋です。敢えて挙げるならば菅野よう子のように一つにまとまった音楽ビジョンのような首尾一貫性に欠けますが、しかし、それは不当な比較なのでしょう。初期の坂本真綾のキャリアのようではなく、May’nはただひとりの作曲家のビジョンにしがみつくことなく、多種多様な音楽スタイルと自分で書いた作品などを通じて自分の音楽の方向性を確立しようとしています。それが達成されたかどうか未だ知れるところですが、このアルバムには彼女がシンガーでありまたはパフォーマーであることを再意識させられる強力なトラックが十分含まれていることは確かです。

Author: gendomike

Michael lives in the Los Angeles area, and has been into anime since he saw Neon Genesis Evangelion in 1999. Some of his favorite shows include Full Metal Alchemist, Honey and Clover, and Welcome to the NHK!. Since 2003 he has gone to at least one anime convention every year. A public radio junkie, which naturally led to podcasting, he now holds a seminary degree and is looking to become Dr. Rev. Otaku Bible Man any day now. Michael can be reached at mike.huang@animediet.net. You can also find his Twitter account at @gendomike.

3 thoughts on “Review: May’n, “Heat”

  1. I’m biased and after seeing her covering “Eternal Blaze”, I’d say that she has the potential to do better; it’s just the writers and composers can’t get it right for her. Bring Yoko Kanno back!

    She has trouble hitting the high notes if they come suddenly, but with Macross Songs, they came gradually and she was able to adjust to that.

  2. diamond crevasse was pretty much a good example of her range.

    guess i’ll give this album a try. mamegu’s 2nd solo album came out a week or two ago, too. they’re in sync finally lol.

  3. @ omo – Diamond Crevasse is one of her best slow songs that was totally written for her voice. If she were to sing more slow songs, I think she needs to head toward that direction.

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